診療科紹介
脳神経外科、脳神経・ 内分泌外科
概要

脳神経外科疾患全般(脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、頭部外傷、脳腫瘍、頭蓋底病変、三叉神経痛、顔面痙攣、てんかんなど)を診療しています。 従来の顕微鏡手術に加え、下垂体手術などでは内視鏡を用いた低侵襲手術を取り入れています。その他頚部頚動脈狭窄は血管内からのステント留置術、くも膜下出血は血管内からの脳動脈瘤コイル塞栓術など血管内手術の発達により短時間、低侵襲の治療が取り入れられるようになってきました。

 

外来では『もの忘れドック』を毎週金曜日に行っており、MRIによる画像診断と高次脳機能検査の組み合わせにより生理的健忘、病的健忘の診断および日常生活上の留意点などを指導しています。

診療内容

脳神経外科疾患全般(脳腫瘍、三叉神経痛・顔面痙攣、脳血管障害、頭部外傷)の診療を行っています。

脳腫瘍

現在、脳腫瘍という言葉は、脳そのものから発生する腫瘍のみをさすのではなく、頭蓋骨の中に発生する腫瘍の全てを含みます。頭蓋内腫瘍と呼んだ方が良いかもしれません。頭蓋内腫瘍は、実に様々なものがあり、他の臓器の腫瘍と比べると、その種類の多さに驚かされるほどです。
しかし、大きく分けると、髄膜腫、神経膠腫、下垂体腫瘍、神経鞘腫の4種類の腫瘍でほぼ80%を占めます。
髄膜腫は、文字通り、脳を包む髄膜から発生する腫瘍で中年以降の女性に多いことが特徴の一つです。そのほとんどが良性腫瘍で、脳を圧迫することで症状を出します。脳のどこが圧迫されるかによって、症状は違います。手足の麻痺を起こすこともありますし、ひきつけを起こすこともあります。治療は、良性腫瘍ですので、基本的には外科的に摘出します。当院では、ナビゲーションシステムを用い、安全に摘出することを心がけています。髄膜腫は、中年以降の女性に多いと書きましたが、脳腫瘍の中で最も多い腫瘍です。時には、MRIで偶然見つかることもあります。見つかったからと言って、必ず手術して取ってしまわなければいけない腫瘍ではありません。定期的な“監視”は必要ですが、症状がない限り、普通、手術はしません。
神経膠腫は、脳そのものから出る腫瘍で、基本的に悪性腫瘍です。髄膜腫と1,2を争う頻度で、脳腫瘍患者の4人に1人ほどに当たります。治療は、基本的に、可能な限りの摘出を行った後、放射線照射と抗がん剤による化学療法を行います。
下垂体腫瘍は、ホルモンの中枢である下垂体に発生する腫瘍で、一つないしは複数のホルモンを過剰に作ってしまう、ホルモン産生性の腫瘍と、ホルモンは産生せず、その体積によって視神経など周囲の構造物を圧迫して症状を出す、非機能性腫瘍に分けられます。ほとんどが良性腫瘍です。当院では、内視鏡による手術を行います。当院脳神経・内分泌外科では、北海道で最初に下垂体腫瘍を経鼻的に内視鏡単独で治療する手術を開始いたしました。創の痛みはほとんどなく、術後の鼻閉などがなくなり、患者さんへの負担が大幅に緩和されました。
神経鞘腫は、神経を包む“さや”から発生する腫瘍です。神経があれば、体のどこにでも発生しうるのですが、頭蓋骨の中では、ほとんどが聴神経に発生します。この腫瘍も、ほとんどが良性です。治療は、腫瘍が3センチメートル未満で、周囲の構造物に影響がなければ、放射線治療を行います。3センチメートルより大きく、脳幹や小脳などの周囲の構造物が歪んでいる場合などには、手術で摘出します。
この他にも、転移性腫瘍、リンパ腫、先天性腫瘍、頭蓋骨腫瘍なども治療を行います。

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三叉神経痛・顔面痙攣

三叉神経痛は、片方の顔の一部が激しく痛む病気です。よく“顔面神経痛”と言いますが、顔の感覚を司る神経は三叉神経なので、“三叉神経痛”が正しい病名です。三叉神経は、その名の通り、額、頬、顎の3つの場所の感覚神経が一つになり、脳に信号を送っています。その、三叉神経の支配領域に一致した、電撃様の痛みが三叉神経痛で、以下のような特徴を持っています。

 

  • 片側顔面の痛みで、痛みは三叉神経の支配領域に一致します。
  • 発作性の痛みで、一回の痛みは数秒程度です。
  • 痛みは電撃様で、“針でさされるような”、“灼けつくような”“ビッと走る”などと表現されます。
  • 痛みが誘発される部分があります。そのため、食事、会話、歯みがき、洗面等で痛みが出現します。
  • 痛みは常にあるわけではなく、間欠期には、全くありません。
  • カルバマゼピンという薬が効きます。

 

ほとんどの場合、血管が三叉神経を圧迫することによって起こります。当院脳神経外科では、診断にMRIでmulti-volume法を用い、圧迫血管と神経の関係を3-D画像で評価しています。三叉神経痛の治療は、まず、上記のカルバマゼピンの投与を行います。
三叉神経痛である以上、カルバマゼピンはよく効きますが、年月を経るに従い、だんだん効きが悪くなる方がいます。その場合、薬の量を増やしますが、カルバマゼピンは眠気を誘発するお薬です。眠気のために増量が困難な方、増量しても期待した効果が得られなくなってしまった方、また、カルバマゼピンにアレルギー反応をお持ちの方には、手術を行います。
手術では、顕微鏡を用い、三叉神経を圧迫している血管を外して、血管が神経に触らないようにします。
具体的には、耳の後ろを約10cm切り、筋肉を外した後、骨に500円玉ほどの大きさの穴を開けます(この外した骨は最後に戻します)。そして、脳を包んでいる膜を切り、手術顕微鏡を用いて、神経が圧迫されている個所に到達します。血管による圧迫を確認した後、手術用の人工物を用いて、血管を外し、二度と神経に触らないようにします。

 

顔面痙攣は、片側の顔が自分の意志と関係なく、ひきつれる病気です。顔面神経は、顔面の筋肉の運動を司る神経です。顔面神経が麻痺すると顔の表情がなくなりますが、逆に自分の意思とは関係なく、顔の筋肉が勝手に動いてしまうのがこの病気で、血管が顔面神経の出口でその場所を圧迫することによって起こります。多くの場合、目の周囲のぴくつきから始まり、頬や口の端までひきつれるようになってしまいます。以下のような特徴を持っています。

 

  • 片側顔面のひきつれで、両側に起きることはありません。
  • 疲れた時に上か下の瞼がぴくぴくするのとは違い、目の周りの筋肉全部がぴくぴくします。
  • ひどくなると、目が自分の意志で開けられなくなります。
  • ストレスがかかったり、緊張したりするとひどくなる傾向があります。

 

ほとんどの場合、血管が顔面神経の脳幹からの出口を圧迫することによって起こります。
顔面痙攣の治療には、有効な薬がありません。治療法には2つあり、ボツリヌス毒素を筋肉注射する方法と手術により直接神経を圧迫している血管を外す方法です。
ボツリヌス毒素を筋肉注射すると、ぴくついている筋肉が麻痺するために、ぴくつきが止まります。人工的に顔に麻痺を作るため、顔に違和感を感じる場合があります。また、効果は長くて半年、大抵は3~4か月で切れてしまいます。従って、一年に2~3回はこの治療をしなければなりません。お若い方ですと、その後何十年もこの治療を続けていくことは、経済的にも、精神的にも負担は小さくありません。手術が上手く行けば、ほとんどの場合、その後治療は不要になります。
手術では、顕微鏡を用い、顔面神経の脳幹からの出口を圧迫している血管を外して、血管が神経に触らないようにします。具体的な方法は、三叉神経痛の項でお示しした通りです。

 

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脳血管障害

脳卒中は、大きく分けて、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血の3種類があります。
脳梗塞は、脳の血管が詰まる病気です。脳梗塞には大きく分けて3種類があります。血管の内側に徐々にコレステロールが溜まり、その場で徐々に血管が詰まってしまう脳血栓症、心臓やその場所より心臓側にある太い血管の内側から血の塊が流れてきて詰まってしまう脳塞栓症、そして、髪の毛より細いような小血管が脳の深いところで詰まってしまうラクナ梗塞です。いずれの場合も、点滴と早期からのリハビリテーションで治療します。脳梗塞の危険因子として、高血圧、不整脈、糖尿病、高コレステロール血症などがありますが、これらを良好にコントロールすることが、脳梗塞の予防につながります。当院は総合病院であり、各専門科と緊密に連携し、脳卒中の予防に努めます。
また、当院では急性期の血栓溶解療法が可能です。これは2005年10月に新しく認可になったアルテプラーゼ(t-PA)という薬によって行われる治療法です。脳梗塞の発症から早い時間帯(4.5時間以内) に点滴でこの薬を投与し、血管内に出来た血栓・塞栓を溶かして、血流を再開通させて脳梗塞になりかかっている脳を救うという治療法です。血流が改善することにより、症状が改善することが期待され、中には劇的に麻痺や失語症状などが良くなる場合があります。この治療を行うためには発症からできるだけ早く病院 に到着することが重要になります。

 

 

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さらに2015年からは、内頚動脈(頭蓋内の広い範囲に血流を供給する頸部の太い動脈)などの比較的太い動脈が詰まった場合などに、急性期に直接詰まった血栓を吸引する治療法も可能になりました。あらゆる場合に可能というわけではありませんが、カテーテルを血管の詰まっている個所まで入れ、詰まっている血栓を吸引します。成功すれば、全く後遺症が残らない場合もあります。

 

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また、脳梗塞の予防に関して、上記の様な危険因子のコントロールが非常に重要なのですが、動脈硬化により細くなってしまった頸部の動脈内にステントと呼ばれる針金の筒を入れて血管を広げる治療も行います。このステント治療は、上記の血栓吸引、下記のコイリングなどと合わせ、血管内治療と呼ばれています。当院でも、今後症例数が増えるものと思われます。
脳出血は、文字通り、脳の中に出血する病気で、高血圧が原因である場合が最も多く、血管の老化によるものも含まれます。生命の危険がある場合は、開頭による手術で血の塊を除去しますが、生命の危険がない場合は、点滴とリハビリテーションで治療します。
次にクモ膜下出血についてです。脳は頭蓋骨の下にすぐあるわけではありません。頭蓋骨と脳の間には、3層の膜があります。外側から硬膜、クモ膜、軟膜で、このうちクモ膜と軟膜の間にはすき間があり、クモ膜下腔と呼ばれています。このクモ膜下腔に出血を起こした状態がクモ膜下出血です。クモ膜下出血は、そのほとんどの場合、動脈瘤という血管の“瘤”が破けて起こります。頭の中で突然動脈が裂けるわけですから、代表的な症状は、突然起こる激しい頭痛です。“今まで経験したことがない”、“バットで殴られたようだ”などと表現されるような極めて強い頭痛が突然起こり、意識を失う場合も多くみられます。
クモ膜下出血が生じると、統計にもよりますが、約40%の方が亡くなってしまいます。再出血、脳血管攣縮(後で説明します)、脳浮腫などが生じると、状態はさらに悪化します。クモ膜下出血による初期の死因の多くは頭蓋内圧亢進です。つまり、出血によって頭蓋骨の中の圧が上がり、これに脳が耐えられずに死んでしまうのです。再出血などがあると、さらに救命率は下がります。
クモ膜下出血の恐ろしさは、初期治療(外科的治療)が上手く行っても、第二・第三のハードルが待っていることです。発症から10日目くらい(7~14日目の間くらい)に、出血した血管を中心に脳の血管が縮んでしまいます。これを血管攣縮といいます。縮んだ血管には、当然ながら、血が流れにくくなりますので、血管攣縮の程度がひどいと、その血管から血を供給されていた脳が死んでしまい、脳梗塞が起きます。この、発症から10日目前後に起こる、血管攣縮による脳梗塞のため、寝たきりになったり、死亡したりする場合もあります。
3番目のハードルは、所謂合併症です。上記のように、クモ膜下出血になると最低でも、2~3週間は、命の危険があり、ベッドでの生活が主となります。このため、心身共にストレスがかかり、胃に穴が開いたり、肺炎になったりする可能性があります。もちろん、そうならないように治療を行いますが、クモ膜下出血という大変な病気を発症し、外科的な治療を受けた後で、多くの方は体力が落ちている状態なので、普段なら問題にならないような、軽い感染でも命取りになる可能性があります。
最後に、これは命の問題はあまりないのですが、手術後に、水頭症になる場合があります。私たちの脳は、ただ膜につつまれているのではなく、脳脊髄液に囲まれています。元々、クモ膜の下の隙間はこの脳脊髄液で満たされています。この液の中に出血するので、多くの場合、クモ膜下出血は塊にならず、クモ膜下腔に拡がるのです。この液体は、脳の中にある脳室という部屋で作られ、クモ膜下腔全体を循環して、静脈の中に吸収されます。脳脊髄液は、体の中の液体で最もきれいなサラサラの液体ですが、そこへベタベタな血が混じるため、静脈への捌け口の通りが悪くなり、頭の中に水がたまる現象が起きます。これが水頭症です。クモ膜下出血の治療後、この水頭症を起こし、意識や反応が鈍くなった場合は、頭の中の脳脊髄液を他の場所(多くはおなかの中)に逃がしてやる他の手術が必要になる場合があります。手術が必要となる水頭症は、10~20%と言われています。
上記のような病態なので、クモ膜下出血の急性期(発症して間もない時期)の手術の目的は、頭蓋内圧のコントロール(頭の中の圧を減らす)と再出血(脳動脈瘤の再破裂)の阻止にあります。
現在、クモ膜下出血の手術は、大きく分けて2種類があります。開頭手術によるものと、血管内手術によるものです。そのうち、開頭手術は、 頭蓋骨を開け、動脈瘤を露出し、クリップという道具を使って動脈瘤に血が通わないようにします。瘤の首根っこをクリップで挟んでしまいます。クリップをかけるのが無理な場合には、動脈瘤の存在する血管ごと挟んでしまったり(トラッピング)、動脈瘤を特殊な素材で包んでしまったり(コーティング、ラッピング)することがあります。血管内手術は、脳動脈瘤塞栓術と呼ばれるもので、動脈の内側から動脈瘤に到達し、瘤の中に針金(コイル)を詰めてしまう方法です。 脳血管内手術専門医が行います。どちらも一長一短があり、発病前の状態(年齢、全身状態等)、クモ膜下出血の様態(脳内血腫、水頭症の有無等)、破裂脳動脈瘤の部位、形状、数などを考慮し、治療方針を決めます。

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スタッフ
八巻 稔明(やまき としあき)
役職等 脳神経・内分泌外科部長
資格等 米国医師免許 (ECFMG)取得(第395-594-5号)
医学博士(札幌医科大学大学院)
日本脳神経外科学会専門医(第2790号)
専門領域 脳卒中
下垂体腫瘍
脳腫瘍
学歴 昭和58年:札幌医科大学医学部卒業
職歴 昭和63年:札幌医科大学医学部脳神経外科学講座 助手
平成2年:カナダ アルバータ大学脳神経外科留学
平成3年:新さっぽろ脳神経外科病院 副院長
平成5年:札幌医科大学医学部脳神経外科学講座 助手
平成11年:札幌医科大学医学部脳神経外科学講座 講師
平成17年6月1日:国家公務員共済組合連合会 幌南病院 脳神経外科 主任医長
学会及び社会における活動 日本脳神経外科学会評議員(平成元年から)
北海道神経内視鏡研究会事務局
加藤 正仁(かとう まさひと)
役職等 脳神経外科部長
資格等 医学博士(北海道大学)
日本脳神経外科学会専門医・同指導医
日本脳卒中学会専門医
がん治療認定医
北海道大学医学部脳神経外科 非常勤講師
専門領域 脳神経外科領域全般(特に脳腫瘍、三叉神経痛、顔面痙攣)
学歴 昭和63年:北海道大学医学部卒業
職歴 昭和63年:北海道大学医学部卒業、北海道第一病院、釧路労災病院、旭川赤十字病院等で研修
平成7年3月:北海道大学大学院医学研究科病理系専攻博士課程卒業
平成12年10月:ジュネーヴ大学医学部腫瘍学講座免疫研究室に留学
平成15年7月:北海道脳神経外科記念病院に勤務
平成26年4月:KKR札幌医療センターに赴任
所属学会及び研究会 日本脳神経外科学会
日本脳腫瘍の外科学会
日本脳神経減圧術学会
日本脳腫瘍病理学会
日本神経病理学会
日本脳卒中学会
北海道脳腫瘍病理検討会 代表世話人
北海道脳腫瘍治療研究会 幹事
外来医師担当表
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