診療科紹介
リハビリテーション科
概要

平成28年5月現在、リハビリテーション科医1名、理学療法士8名、作業療法士3名、言語聴覚士2名在籍しており、リハビリテーション施設基準は脳血管リハI、運動器リハI、呼吸器リハI、心大血管リハI、がんリハを取得しています。また、日本リハビリテーション医学会研修施設に認定されています。
当院でのリハビリテーションは、ICU・CCUに入室している重症患者さまも早期から急性期リハビリテーションを行っており、必要に応じて維持期から終末期のサポートも行っています。
急性期から積極的な医療サービスを展開できるよう定期的に各診療科の医師・看護師とカンファレンスを持ち情報を共有しています。また、退院や転院に向け医療ソーシャルワーカーや訪問スタッフとも連携をとり住宅改修や福祉用具のアドバイス等の退院調整にできるだけ関わるようにしています。
嚥下障害に対する対応も求められており、リハビリテーション科医・耳鼻科医師・言語聴覚士が連動し、VEやVFなどの嚥下評価を行い、結果に基づいた治療を病棟スタッフ・リハスタッフらと共に進めています。
その他、リハビリの効果を高めるため、症例によって脳血管障害などの疾患で問題となる痙縮に対するボツリヌス治療も行っています。

スタッフ
  • 千葉 春子 医師
  • 荒谷 隆 科長
  • 高橋 友哉 主任
  • 江端 純治 主任 他
外来医師担当表
リハビリテーション科の理念

KKR札幌医療センター理念である“病院は人”の心で、“リハビリテーション”という治療を患者さんのために全力をもって行う。リハビリテーションの理念は人間らしく生きる権利の回復「全人件的復権」という言葉に集約される。最終的にはQOLの向上を目指す。

リハビリテーションとは

できるだけ短期間で、身体的・精神的・社会的能力を最大限に回復することを言います。

 

当院では、当院の医師の診察により、リハビリテーションが必要と判断された方に対して、入院されている方を中心に、主に急性期(病気やケガをしてすぐの時期)のリハビリテーションを実施し、早期に安全に離床を進めていけるようにしています。また、場合によっては、維持期から終末期のサポートも行うこともあり、必要に応じて、外来での定期的なフォローも行っています。

構成

当リハビリテーション科は、リハビリテーション科部長、リハビリテーション科医師 1名、理学療法士 8名、作業療法士3名、言語聴覚士 2名で構成されています。

施設基準

脳血管疾患等リハビリテーション Ⅰ、運動器リハビリテーション Ⅰ、呼吸器リハビリテーション Ⅰ、心大血管疾患リハビリテーション Ⅰ、がん患者リハビリテーションを取得しています。(2014年6月現在)

リハビリテーション実施時間

月曜日~金曜日 8:30~17:15(土曜・日曜・祝日はお休みとなります)
外来の受付 午前8:30~11:00、午後13:00~15:00
※受診している科によっては変更がありますので、詳しくはスタッフまでお気軽にお尋ね下さい。

当院リハビリテーション科の特徴
さまざまな病気にあわせて適切に対応

総合病院のリハビリテーション科としてさまざまな病気に対応しています。骨折などの整形外科、脳卒中などの脳の病気、肺の病気などの呼吸器の病気、心筋梗塞などの心臓病に対するリハビリテーションを中心に、緩和ケアや褥瘡(床ずれ)、生活習慣病に対するサポートなども行っています。

病気にかかった直後や入院直後、手術直後からの迅速な対応

病気にかかった直後あるいは入院直後、手術後早期から、合併症や寝たきりによる筋力低下を防ぐために、厳重な管理の下で安全に早期からのリハビリテーションを実施しています。これにより円滑な家庭復帰や社会復帰を目指しています。

充実した退院後のサポート・地域との連携

近年の、医療技術の進歩により、入院期間が短縮され早期退院が可能となってきています。その分、急性期病院退院後のサポートが重要となってきています。当科では、退院時にご家庭で出来る運動の指導や生活指導を充実させ、必要に応じて退院前の自宅訪問や外来でのリハビリテーションの継続も行っています。また、入院を継続してのリハビリテーションが望ましい場合には、医療相談員(メディカルソーシャルワーカー)と連携して転院先を紹介をし、地域連携パスなどを用いて他院・他施設とも情報を共有しながらのサポートもしています。

集団教室の実施

疾患によっては長期的に病気と付き合っていかなければならず、体調を維持するためには自己管理が重要となってきます。当科では糖尿病教室や心臓リハビリテーション教室(当院内で毎週実施)にて集団指導を実施しています。その中で、いかに病気と上手く付き合えるか、生活にどう運動を取り入れるべきかをお話をさせて頂いています。

徹底したチーム医療

主要な診療科とは定期的なカンファレンス(医師、看護師、医療相談員、リハビリテーションスタッフなどのチームで実施する話し合い)を開催し、情報の共有、治療方針の決定、退院の調整などを行っています。また、必要に応じて、個別の患者さんへのカンファレンスも実施しています。

各職種・部門の紹介
リハビリテーション医師

リハビリテーション医師とは

患者さんが最大限に能力を回復できるように各職種とのマネジメントや薬物療法を行っています。

 

当院での役割

特に嚥下障害の患者さんに対して、診断および治療を行っています。
嚥下障害とは、食べ物や飲み物を口に運ぶところから飲み込み終わるまでに起こる障害のことで、具体的にはうまく飲み込めない、食べ物が気管に入ってしまうというようなものがこれに含まれます。診断には診察や嚥下造影などを用います。嚥下障害は患者さんの食べる楽しみを奪ってしまう可能性があり、それによりQOL(生活の質)が低下してしまったり、肺炎の原因(高齢者の肺炎の主な原因は誤嚥によるといわれています)となることがあるため、慎重な診断と治療を進めています。

※他院からの紹介受診については、当院地域連携室を通じ、事前の予約が必要となります。

理学療法部門

理学療法とは・・・

立ったり、歩いたりなどの基本的な動作能力の獲得や回復を図るため、運動療法、物理療法、装具療法を用いて治療をするリハビリテーションのことをいいます。

 

当院では・・・

整形外科疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、心臓大血管疾患などを主な対象として発症・術後早期から理学療法の介入を始めています。どの病気においても長期間の安静は回復の妨げとなることが多いため、早ければ発症・手術の翌日からアプローチを行います。
また、外科の手術予定の方には手術前から理学療法を開始し、体力低下や術後の肺合併症の予防にも努めています。また、長期間の臥床による廃用症候群に対しても介入を行っています。そのほか、糖尿病で運動療法が必要な方への集団運動療法、緩和ケア病棟への介入、褥瘡回診などへの参加も積極的に行っています。

 

スタッフ紹介

  • 荒谷 隆(科長)
  • 高橋 友哉(主任)
  • 江端 純治(主任代行)
  • 金内 利明
  • 若杉 大
  • 山越 霞
  • 上泉 理
  • 田仲 愛

 

資格

  • 理学療法士(国家資格)
  • その他
    呼吸療法認定士(荒谷)、心臓リハビリテーション認定指導士(江端、上泉)、福祉住環境コーディネーター2級(若杉)、福祉用具専門相談員(山越)、などの取得者あり
  • 認定理学療法士(脳卒中):高橋、上泉

 

所属学会

  • 日本理学療法士協会(全員)
  • 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会(荒谷)
  • 日本心臓リハビリテーション学会(江端、山越、上泉、荒谷)
  • 日本小児心身医学会(山越)
作業療法部門

作業療法とは・・・

身体または精神に障害のある人、またはそれが予測される人に対して主体的な生活が送れるよう、作業活動を用いて応用的な動作を練習するリハビリテーションをいいます。

 

当院では・・・

主に整形外科疾患や脳血管疾患など、ケガや病気のために身体に障害を負った方の急性期治療を中心に行っていますが、長期間の臥床による廃用症候群や、緩和ケア病棟の方にも関わっています。

具体的には、今後生活していく上での問題点を評価し、各種器具の使用や手工芸の制作を通して、手指の細かい動きの練習や上肢の動作練習を行ったり、着替えやトイレの練習などの日常生活活動練習、調理や掃除などの家事動作練習、復職に向けた職業関連活動練習、注意や記憶などの高次脳機能練習を行います。さらに、必要に応じて自助具の検討・導入、福祉用具の選定、家屋改造の指導、余暇を楽しむための趣味活動など様々な面から指導・援助を行います。

 

スタッフ紹介

  • 太田 加苗
  • 舟越 隆展
  • 阪本 なな実

 

資格

  • 作業療法士(国家資格)
  • 介護支援専門員(ケアマネージャー)(太田)
  • 住環境コーディネーター2級(舟越)

 

所属学会

  • 日本作業療法士協会
言語聴覚療法部門

言語療法とは…

病気や交通外傷などで、ことばや聞こえ、摂食・嚥下に障害のある方や周囲の方々に対して、機能回復や維持のため、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、教育関係者、療育関係者などと連携を取りながら、相談・評価・訓練・指導などの専門的な援助を行うことをいいます。

 

当院では・・・

主に、聴覚障害、音声障害、高温障害、失語症、高次脳機能障害、摂食嚥下障害を対象に関わっています。以下にそれぞれへの介入について簡単に説明します。

 

  • 聴覚障害
    聴力低下のある方に補聴器の相談や装用指導を行います。
  • 音声障害
    ガラガラ声、息の漏れる声などのかすれる声(嗄声)の症状をお持ちの方に対して、楽に声を出せるように指導します。
  • 構音障害
    口腔周辺の手術や脳血管疾患の後遺症による構音障害をお持ちの方に対して、リハビリテーションを行います。
  • 失語症
    脳血管疾患の症状のひとつで、大脳の言語中枢の障害により、言葉で自分の気持ちを表現したり、言葉を理解したりすることが困難になった方に対してリハビリテーションを行ないます。また失語症では読み・書き能力も困難になり、この場合、長期のリハビリテーションが必要になります。
  • 高次脳機能障害
    脳血管疾患や交通外傷などにより大脳が損傷され、注意力や記憶力が低下したり、目的の行為や動作ができなくなった方の症状改善の指導を行います。
  • 摂食・嚥下障害
    口腔周辺の手術や脳血管疾患の後遺症により、水や食物を飲み込みにくくなるなどの障害が生じた方に、安全においしく食べていただくために、評価・練習を行ないます。

 

スタッフ紹介

  • 中嶋 直子
  • 成田 愛夏

 

資格

  • 言語聴覚士(国家資格)

 

所属学会

  • 日本言語聴覚士協会
施設紹介(イメージ図)

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物理療法スペース ホットパック、牽引、低周波やバイブラバスなどの治療機器があり、医師の指示の元、物理療法も実施しています
パワーリハビリテーション パワーリハビリテーションでは、マシンを使って軽負荷でトレーニングを行い、普段使っていない筋肉を動かします。それにより、身体的・心理的活動が回復すると言われています。
言語療法室 個室で1対1でリハビリテーションが実施できるようになっています。
作業療法スペース 腕や指先の練習や実践的な手芸や楽器の演奏などの趣味活動、調理や洗濯などの家事動作の練習もできるようになっています。
スタッフルーム 何か作業をしていても、患者さんが見渡せるようにオープンカウンターになっています。
有酸素運動スペース 自転車エルゴメーター、トレッドミル(ルームランナー)のほかに、乗り降りが大変な方でも出来るように背もたれがついた椅子型の自転車もあります。

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スタッフルーム

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物理療法スペース

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作業療法スペース

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有酸素運動スペース

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パワーリハビリテーション

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言語療法室

各疾患のリハビリテーション内容の紹介
運動器疾患

運動器疾患とは主に“整形外科“の疾患のことで、骨折や関節症、靱帯損傷などのことを指します。

  • 対象
    上肢・下肢の骨や筋肉、靭帯の損傷、脊椎損傷、関節の変性疾患、整形外科の手術後 等
リハビリテーション内容・流れ

入院中の患者さんに対して

医師の処方に基づいてリハビリを実施します。手術直後や安静のためにベッドから離れられない場合には病室にて行い、この場合は、基本的な能力の評価、安静による能力低下の予防といった治療が主体となります。車椅子等での移動が可能となれば、リハビリテーション室にて実施します。
理学療法では起立・歩行などの基本的な動作練習、作業療法では手指巧緻動作練習や上肢機能練習、実際の生活場面を想定してのADL練習などを実施します。退院と同時に当院でのリハビリテーションは終了となり、必要に応じて他院や地域(デイケア、デイサービス、訪問リハビリテーション)での継続や、医師が必要と判断した場合には当院にて外来で継続したりもします。

 

外来の患者さんに対して

医師の外来診察にて必要と判断された場合に治療を行います。主な対象は五十肩(肩関節周囲炎)や事故後の捻挫などです。また、腰痛に対する体操指導、関節痛等に対する筋力トレーニング方法指導なども行っています。外来の終了は医師の診察にて決定されます。

当院での取り組み
  • 脊柱(背骨)や下肢(足)の疾患の手術件数が多く、ほぼ100%の患者さんに対してリハビリテーションを実施しています。そのほか肩や、腕の疾患の方に対しても実施しています。
  • 高齢の方で多い大腿骨頸部骨折の手術後の患者さんに対して、「地域連携パス」というものを用いて地域の病院と協力した治療を行なっています。
  • 週に1回、医師、看護師、医療相談員とカンファレンスを開催し、チームによるアプローチを実施しています。また、チームで勉強会を開催し、知識の共有を図り治療に役立てています。
脳血管疾患のリハビリテーション

脳血管疾患とは、脳血管が原因となって生じる疾患の総称です。

  • 対象
    脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)、脳動静脈奇形、脳動脈瘤、硬膜下血腫 等
リハビリテーション内容・流れ

脳卒中急性期リハビリテーションでは、廃用症候群を予防し、早期のADL(日常生活関連動作)向上と社会復帰を図るために、十分なリスク管理のもとにできるだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められています。(脳卒中ガイドライン2004、脳卒中ガイドライン2007リハビリテーション(案))当院では、医師の指示の下、重症度にもよりますが、多くは入院当日よりリハビリテーションを開始します。状況に応じて、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3職種が介入して専門的リハビリテーションを提供します。また、ICU(集中治療室)や脳神経外科病棟に併設されているHCU(ハイケアユニット)でも、バイタルサイン(心電図や血圧など)を管理しながら可及的に離床を進めています。これは寝たきりは廃用症候群を引き起こし、さらには肺炎などの二次的合併症をも引き起こす原因となるからです。

こうして車椅子乗車が可能となればリハビリテーション室にて行います。そこでは、基本動作練習、歩行練習、上肢機能練習、高次脳機能練習、言語練習、ADL練習などをそれぞれの専門性を生かして提供しています。当院でのリハビリテーションは退院・転院まで継続し、必要に応じて外来も行っています。
もちろん脳卒中だけでなく、脳腫瘍、脳動脈瘤など他の手術後の患者さんに関しても可能であれば手術翌日より介入をしています。

当院での取り組み

当院脳血管疾患領域のリハビリテーションは、ガイドラインやエビデンス、院内の文献検索システムを利用して最新の知見などを総合してリハビリテーションを実践し、さらに地域連携パスの計画管理病院として地域の中核的役割を担いながら将来の医療制度を変えていく取り組みにも積極的に参加しています。

 

  • 脳血管疾患に加えて、脳神経外科領域の疾患として主に脳腫瘍、頭部外傷、脳炎、脊椎症なども治療対象となっています。各疾患ともに早期から介入を開始しています。
  • 限られた時間の中でより多くの介入をするように心がけています。これは、1日のリハビリ時間をより多く実施すると発症3ヶ月後の機能障害やADLを改善させるといわれているためです。
  • より良い医療を提供できるよう情報の共有や方針検討のために、週に1回、医師、看護師、医療相談員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士でカンファレンスを行っています。
  • 当院は、札幌市脳卒中地域連携パスの計画管理病院となり、患者さんの同意を得て、脳卒中地域連携パスの運用にも取り組んでいます。この脳卒中地域連携パスは患者さんの情報伝達を一本化し、シームレスな連携を実現するツールで、これを用いることにより、急性期の病院から始まり、回復期、維持期の病院など各時期の患者さんの情報を一括して管理できるようになります。また、これによって蓄積された情報をもとに、新たなエビデンスを構築できる可能性も秘めており、このデータから得られた新たな知見が将来の日本の医療を変えていく可能性も決して低いものではありません。
  • 当院の脳血管疾患領域の患者さんへの介入方法は、過去の理学療法モデルとなっていた筋再教育や神経筋促通を併用しながらも、1990年以降の理学療法モデルの主流となっているシステム理論や生態学的理論に基づいた課題志向型アプローチを主体にリハビリテーションを展開しています。これは、身体内部の機能だけでなく、環境との相互関係を重視した考え方といわれており、患者さんが必要とする課題を通して安全な活動を促していく方法です。ことに、脳卒中などでは、残念ながら障害が残存する場合も多く、さらに高齢化に伴って疾患・障害は多様化している中で、社会的ニーズの影響を受けながら異常性を正常化させるよりも相対的な適応を図ることが重要と考えられています。
呼吸器疾患のリハビリテーション

呼吸器疾患とは主に肺になんらかの変化が生じて起こる疾患の総称です。

  • 対象
    肺炎、肺結核後遺症、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患、開胸・開腹など外科手術前後 等
リハビリテーション内容・流れ

病期に応じて、呼吸理学療法や運動療法を実施しています。

 

呼吸理学療法(主に急性期~回復期)

肺炎によって痰などの気道内分泌物が肺の中に貯留している時には肺胞から血液に十分な酸素を受け渡すことができません。肺炎などが進行すると肺が潰れて全く空気が入っていない状態になります(無気肺)。このような状態では全身が酸欠状態に陥り、生命にとって危険な状態です。呼吸理学療法は原因となる痰などを円滑に除去できるように徒手で排痰をしたり、排痰器具の使用指導などを行います。ただし、呼吸理学療法で炎症が良くなるわけはなく、抗生剤による治療やご本人の基礎体力が症状改善の重要なポイントとなります。また、外科手術の場合、手術後1週間以内は痰が多くなり肺合併症が生じやすいので手術前から呼吸法や排痰法について指導・説明をしたりもしています。

 

運動療法(主に回復期~維持期)

肺炎や外科手術後は体力が低下し、疲労感を感じやすいだけでなく、肺胞の一部が病前と異なった状態となり全身が酸欠状態に陥りやすくなっています。運動療法では動脈血酸素飽和度や心拍数の状態を確認しながら安全で適切な運動を指導し、自宅復帰へのサポートをしています。

 

COPDに対する呼吸リハビリテーション

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は近年テレビでもよく紹介され一般的によく知られている病気となりつつあります。この原因のほとんどが喫煙で、一旦タバコによって破壊された肺胞は元には戻りませんが、種々の医療行為によってCOPD特有の「息切れ」を軽減させる事は可能です。特に適切な服薬、栄養管理、運動により、生活の質(QOL)が改善されることが証明されています。もちろん息切れ・体力の改善に個人差はありますが眠っている筋肉を呼び覚ますことで改善が期待できるとされています。

当院での取り組み
  • 医師の指示により、できるだけ早期からの介入をしています。リハビリテーション実施の状況などは週1回のカンファレンスにて確認しています。
  • 外科手術前後の処方も主治医の判断により実施しています。特に、70歳以上の方、喫煙歴が長い方、手術部位が広範囲な方、他に肺や心臓の疾患をお持ちの方では実施する可能性が高くなります。
  • 当院にて在宅酸素療法(HOT)が開始となる方では全員に対しリハビリテーションを実施しています。
  • 誤嚥性肺炎の疑いがある際にはリハビリ医師や言語聴覚士とのチームアプローチに努めています。
心大血管疾患のリハビリテーション

心大血管疾患とは心臓の血管や弁、心不全などの心臓の病気や大動脈瘤などの疾患の総称です。

  • 対象
    急性心筋梗塞、狭心症、慢性心不全、慢性閉塞性動脈硬化症、解離性大動脈瘤、心臓の手術(冠動脈バイパス術後や弁置換術など)後、大血管の手術後 など
リハビリテーション内容・流れ

代表的な疾患である急性心筋梗塞後の心臓リハビリテーションでは、急性期はCCU(冠動脈疾患集中治療室)や病棟から専門の知識をもった理学療法士・看護師が血圧変動や不整脈の出現に細心の注意を払い、慎重に早期の離床を進めます。約1週間でリハビリテーション室へ移り、早期退院、早期社会復帰に向けて、身体活動量の拡大を図るとともに、再発予防に向けての運動療法や生活指導を行います。退院後は外来通院型・心臓リハビリテーションにて回復期のサポートを行っています。

当院での取り組み

回復期のサポート強化に向けた取り組み

再発の予防には入院中に開始した運動療法を退院後も継続していくことが必要不可欠です。退院時には理学療法士が主体となって在宅で可能な運動の指導を行いますが、退院後から数ヶ月間は医療機関で専門スタッフ管理のもと運動療法を行うほうがより安全でより効果的です。

当院では、外来で心臓リハビリテーションが継続できるように準備を行い、2008年5月より外来通院で心臓リハビリテーションが続けられるようになりました。今後は、継続性を高められるような工夫をしていきたいと考えています。

 

チーム医療充実に向けた取り組み

最近、心臓リハビリテーションは「多面的効果を有する先進的心血管治療法」として注目されています。循環器領域の有名な雑誌である「Circulation」の2004年には「冠動脈カテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション)より運動療法を主体とした心臓リハビリテーションを1年間継続した方が心筋梗塞や心不全入院、心死亡などの心事故発生が抑制された」と報告されました。
このように効果的な心臓リハビリテーションの成果を出していくには、医師、看護師、理学療法士、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、臨床心理士など、多くの職種が複合的に介入した包括的心臓リハビリテーションが重要となります。当院では、より効果的な心臓リハビリテーション・ケアを提供できるように、定期的にスタッフ間での勉強会を開催するなど、チーム医療の充実が図れるよう取り組んでいます。

糖尿病・緩和ケア・廃用症候群・その他への介入
廃用症候群

廃用(寝たきり)により生じる心身機能低下をいいます。手術や治療により安静を強いられることで関節が硬くなったり、筋力が低下するだけでなく、心臓や肺など内臓の機能も低下し、起立性低血圧、便秘、うつ傾向、知的活動低下など様々な症状を呈してしまいます。一般に、安静1週間で10~20%の筋力が低下すると言われています。


リハビリテーションは、最初は病室で実施できるような、関節を動かす体操や簡単な筋力トレーニングから開始し、少しずつ体力がついてきてからは、立ったり歩いたりする練習を追加しながら、その方の状態に合わせて運動の量を増やしていきます。その他にも、手作業などをしながら座っている時間を増やしたり、色々な人とおしゃべりをすることで精神機能を刺激したりすることも重要と言われています。

糖尿病

糖尿病との関わりは、入院患者さん対象の集団運動療法が中心です。午前9時と午後2時の1日2回で、ご自宅へ退院された後にも継続できるように、「いつでも、どこでも、ひとりでも」できる運動を指導しています。もちろん膝や腰が悪いなど運動に制限がある場合には個別での対応を行っています。
また、当院で実施している「糖尿病教室」でも理学療法士が運動療法についてお話しさせていただいています。糖尿病教室とは医師、看護師、薬剤師、検査技師、栄養士、理学療法士と他職種がそれぞれの分野についてお話しし、糖尿病に対する理解を深めていただくことを目的として実施している教室のことです。そこでは入院患者さんだけでなく外来患者さん、患者さんのご家族などにも糖尿病の運動療法についてお話をさせていただいています。

緩和ケア

緩和ケア病棟という専門病棟があり、(1)癌の既往があり、(2)手術などの外科的治療や放射線治療・化学療法などの対症療法による症状改善が期待し難く、(3)生命予後が不良である、と医師から説明を受けている方が当病棟に入院されています。そのような状態であっても、身体能力や身辺動作能力の維持、趣味活動の実施等を望む方を対象にリハビリテーションを実施しています。

限られた時間の中で、患者さん御本人や御家族にとって快適で満足を得られる生活を送ることが出来るように、リハビリテーション内容を決定し希望に沿った働きかけをしていきます。例として、筋力訓練やストレッチ等の運動療法や、移乗や、歩行、更衣、排泄などの日常生活動作が可能な限り独力で行えるよう支援します。他には、身体的な症状を緩和するため、リンパ浮腫に対するマッサージや呼吸困難に対する排痰等も実施しています。更に、趣味活動、散歩や会話等を通して穏やかな時間を過ごすことを希望される方には、それらの提供も行います。中には、症状が落ち着いており、外出や外泊、一時的な自宅退院が可能な方もおられるため、環境設定を行う場合もあります。いずれにしても、症状が変動しやすく長期的な計画を立てるのが難しいため、短期的な計画を立て、医師や看護師、医療相談員など、チームとして方向性を統一して関われるよう努めています。

褥瘡ケア

〝褥瘡(じょくそう)〟というのは、いわゆる〝床ずれ〟のことを指しますが、この床ずれを予防していくためには、寝ている姿勢や座っている姿勢を良い姿勢に保つことが必要です。また、床ずれ予防の近道は、「栄養をつけてリハビリテーションをして自分で動けるようになる」ことといわれています。

当院リハビリテーション科では、院内褥瘡対策委員会のスタッフと協力しながら、床ずれができにくい良い姿勢を保持できるようなアドバイスを行うとともに、リハビリテーションを通じて離床(ベッドから離れて活動すること)が可能になるような手助けを行っています。

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