血管外科のご案内

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血管外科は胸部・腹部の大血管と末梢血管(末梢動脈及び静脈)の疾患を外科治療で治す診療科です。具体的な疾患は胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、末梢血管疾患(急性、慢性動脈閉塞、下肢静脈瘤)などです。 当院の診断で特徴的なことは最新の64列マルチスライスCTが導入され、従来血管造影検査が必要であったものが普通のCT検査だけで大血管や末梢血管の病変が診断でき患者さんの負担を軽減することが可能になりました。 手術に関しては可能な限り身体に優しい(低侵襲な)血管内治療を第一選択に考えています。

胸部・腹部大動脈瘤

従来の大動脈瘤や大動脈解離(解離性大動脈瘤)に対する外科治療は、開胸や開腹操作が必要になり、部位によっては、脳、心臓、肺、腎臓、腸管、四肢など様々な臓器に合併症を発症する場合もあり、心臓の手術を凌駕する手術危険率を有する手術もあります。 近年、大動脈瘤や大動脈解離(解離性大動脈瘤)の治療は、手術によって瘤の部分を人工血管に置換する方法のみならず、カテーテルを用いて人工血管を血管の内側からあてがう大動脈ステントグラフト内挿術が登場し、動脈瘤の場所や種類によっては、手術せずに大動脈瘤を治療できる時代になりました。麻酔も全身麻酔ではなく、局所麻酔で行うこともできるので、体の負担は外科手術に比し、極めて低いのが特徴です。ただ、ステントグラフトには改良の余地もあり、長期成績についてはいまだ議論すべき点はあります。したがって全ての大動脈瘤の患者さんにこの治療法が適応になるわけではなく、大動脈瘤の場所、形状、患者さんの全身状態、年齢等を十分加味し、より適切な治療法を選択します。

経皮的ステントグラフト移植術

経皮的ステントグラフト移植術

経皮的大動脈ステントグラフト移植術の実際1 (図1, 2)

従来のような開胸開腹を必要とせず、鼠径部に約5cmの皮膚切開おくのみで、大動脈瘤治療が可能です。すなわち、長いカテーテルを瘤の中枢側まで先進させ、その中にステント付き人工血管(ステントグラフト)(図3)を挿入し、特殊な棒で目的部位まで押し進め、そこで人工血管を押し出すと、大動脈内で広がったステントグラフトが瘤の前後を橋渡しするような形となり、瘤が血流から遮断され、破裂の危険がなくなります。長期的には瘤が縮小していく場合もあります。図は横隔膜上の嚢状の大動脈瘤に対してステントグラフトを挿入し、術後完全に瘤内への血流が遮断されたことを示した3DCT画像です。

経皮的大動脈ステントグラフト移植術の実際

末梢血管疾患(閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤)

閉塞性動脈硬化症に対する治療は薬物治療、カテーテル治療やバイパス手術などがあります。私たちは、患者さんに対して負担の少ないカテーテル治療から、カテーテル治療が不可能な病変に対してはバイパス手術、またはこれらを複合させた治療方法を、病変部位、病変数、患者さんの全身状態等を加味して選択し、生活の質の向上を目指した治療を行います。 下の図は、血管拡張ステントの一つであり、病変部位や長さ、性状によってカテーテルやステントの種類を使い分けます。

下肢静脈瘤に対して外来手術や日帰り手術を行っています。

情報開示とセカンドオピニオン

 手術が必要で外来を受診された時に手術の必要性、手術方法、危険性、また一番知りたいと思われるわれわれの経験など包み隠さずオープンにし、十分に話し合って納得していただいた上で手術を受けていただきたいと考えています。ご希望であれば手術のビデオを手術後にお渡しいたします。 セカンドオピニオンも受け付けています。どうぞお気軽にご相談下さい。

 心臓外科のページをご覧下さい。

心臓血管外科 医長(血管外科担当)
上田 秀樹(うえだ ひでき)

略歴

専門医

専門分野


心臓血管外科 部長
福田 宏嗣(ふくだ ひろつぐ) 
心臓外科に記載

 
午前 手術 上田 秀樹 手術 上田 秀樹 手術
午後 手術   手術   手術



■ -話題3

腹部大動脈瘤に対する血管内治療の現状  2008.4月

心臓・血管外科  上田 秀樹

当院では循環器センター開設に伴い、2005年10月に初めて腹部大動脈瘤(AAA)の手術を行い、以後、2008年3月までの2年6ヶ月で、 79例の腹部または腸骨動脈瘤に対する治療を行ってきました。開設当初より、high risk症例に対しては解剖学的に適切であれば、 自作ステントグラフトによる血管内治療を行ってきましたが、2007年4月から、当院でも企業製造ステントグラフトが使用可能となり、 line upの充実もあり、血管内治療が開腹手術を凌駕する状況となってきました(図1)。

KKR札幌医療センターにおける胸部大動脈瘤治療の変遷

2007年4月に、当院でCOOK社のZENITH AAA endoprosthesisの使用が可能となり、それ以前と以後のステント治療と 開腹手術の割合が変化していることが分かります(図2)。

企業製造ステントグラフト承認前後の術式の割合

承認前は、自作のため、解剖学的な制約も多く、2割前後にとどまっていた血管内治療でありましたが、承認後は、 6割近くまで占めるようになってきました。これは欧米の主な血管センターにおける開腹手術と血管内治療の割合に近づいているものと思われます。 当院では、自作ステントグラフト使用時からの豊富な経験と指導医の存在により、現在、国内で保険償還のおりている2種類のステントグラフト(図3)を、 適応のある症例に対しては、自由にいつでも使用することができます。この1年間でZENITH 15例、Excluder 8例、(hand-made 2例)を行い、 病院死亡はなく、技術的成功は100%。Follow up 最長1年での臨床的成功は96%と良好であります。follow up期間は1年に満たないものの、 約50%の症例で、瘤の縮小を認めています。

胸部大動脈瘤に使用してるステントグラフト

本治療には、図4に示すような解剖学的適合基準が設けられていますが、単純なステントグラフト内挿術にとどまらず、 経カテーテル的血管形成術を併施すれば、アクセスルートの狭窄閉塞症例に対しても血管内治療が可能で、 また内腸骨動脈などの分枝血管のコイル塞栓術を行うことで、一側の総腸骨動脈瘤、内腸骨動脈瘤症例に対しても適応を広げられています。 さらにバルーン拡張型ステントを用いることにより、中枢または末梢側neckの、短い症例に対しても、その適応を広げることが可能になっています。 これにより、患者様に、より低侵襲かつ安全で、確実な治療を提供することができます。

ステントグラフト内挿術を行うための解剖学的適合基準


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