病理診断科のご紹介
札幌医療センターの前身である幌南病院で病理解剖が開始されたのは1964年、生検診断が開始されたのが1967年ですから、当院病理には40年以上の歴史があります。
しかし、院内に常勤病理医1人と病理専任技師2人からなる本格的な病理診断部門(臨床検査科病理)が産声をあげたのは私がこの病院に着任した1999年でした。
以後の8年間で、病理技術を磨き上げ、業務をIT化し、感染検査を立ち上げ、札幌医療センターを支える診断部門に成長したと思っています。以下のクロノロジーを見ていただければ幸いです。
現在、病理医2人、検査技師5人で札幌の中核病院たる札幌医療センターで発生する細胞診断、病理診断、感染検査をこなしています。腎臓病の診断・治療に必要な腎生検診断が日常的に行われていることが当科の特徴で、札幌市内の専門病院から腎生検が送られてきます。また、感染検査を併設し、感染症治療や院内感染対策に貢献しています。
病理診断科部長 深澤 雄一郎
成り立ち
| 年 | 月 | 経歴 |
|---|---|---|
| 1999 | 2 | 臨床検査科病理に常勤病理医が着任した。 ファイルメーカーProを用いた病理管理システムが実動を開始する。 |
| 1999 | 4 | 日本病理学会認定施設として認定される。 |
| 1999 | 5 | 腎生検診断始まる。腎生検は光顕、電顕、蛍光抗体法を必須とする専門性の高いものです。 |
| 1999 | 6 | 術中迅速診断始まる。 |
| 1999 | 9 | 幌南病院病理ホームページを立ち上げる。 |
| 1999 | 12 | 病理専任技師3人体制となる。 |
| 2002 | 1 | 院長主催で解剖百例会が開催された。 |
| 2002 | 5 | 病理検索システムの運用が開始される。1999年以後の細胞診、生検、剖検のデータを院内LANから検索することが可能となった。 |
| 2002 | 10 | 病理画像デジタルシステムの稼働が開始される。 |
| 2002 | 11 | 電子顕微鏡が設置される。 |
| 2003 | 4 | 日本臨床細胞学会認定施設として認定される。 |
| 2005 | 7 | 臨床検査科から病理科として独立し診療部の一部門となった。目黒祐二病理科主任を迎え病理専任技師4人体制となった。 |
| 2005 | 11 | 病理科に感染部門を併設し業務を開始した。 |
| 2006 | 4 | 新病院が落成すると同時にKKR札幌医療センターとなった。 |
| 2006 | 5 | 病理専任技師が5人体制となった。 |
| 2006 | 11 | 北大分子病理から鈴木 昭医師を迎え常勤病理医2人体制となった。 |
| 2007 | 2 | 4年間の後期研修プログラムを有する病理専門医コースを設立した。 |
病理診断科業務内容
病理検査
患者さんの体から採取された臓器の一部(生検)や手術で摘出された臓器から標本を作製し、顕微鏡で観察して診断するのが「病理診断」です。そして、この「病理診断」が最終診断として重要な役割を果たします。
この病理診断を専門とする医師が病理医であり、病院に常勤の病理医がいることは、より良質の医療を患者さんに提供することに繋がります。
病理診断には以下のようなものがあります。
【生検組織診断】
たとえば、胃の調子が悪く病院を受診した場合、胃カメラを行います。その際胃の一部を取り、病気を顕微鏡で判断することを、生検組織診断と呼びます。

【手術で摘出された臓器・組織診断】
摘出された臓器は、まず病理医が病変を観察し、診断に必要な部分を切り取ります。その臓器から、臨床検査技師が顕微鏡標本を作製し、病理医が診断します。
それぞれの病気では統一した診断基準が定められており、治療方針の決定に必要な情報を臨床医に提供します。



【手術中の迅速診断】
癌の手術であれば、癌が取りきれているかどうかや、リンパ節転移の有無などを確定するために、手術中に臓器の一部を採取して病理診断を行います。これを、術中迅速診断といい、臓器が採取されてから10〜15分くらいで病理診断が行われます。
その診断結果はただちに執刀医に連絡され、手術方針が決定されます。
【病理解剖診断】
不幸にして患者さんがお亡くなりになった場合、御家族の承諾のもと、専門の病理医が病理解剖を行うことにより検証するものです。その病理解剖の結果が月一回症例検討会で活かされます。

細胞検査
病巣部より剥げ(はげ)落ちた細胞を顕微鏡で観察して、良性細胞か悪性細胞かを見分ける検査を細胞診といいます」
細胞診の対象となるもの(検体)には、胸水・腹水・たん・乳汁・尿などがあります。子宮の一部から細胞をこすり取って調べたりもします。生検組織診断と比べると、患者さんにとって負担が少なく、繰り返し検査しやすいという利点があります。
また、乳房や喉(のど)などにしこりがあるときに、細い針を刺して吸引し、取れた細胞の中に悪性細胞(がん細胞)がいるかどうかを調べる場合もあります。
実際に検査室で、多数の良性細胞の中から少数の悪性細胞を見つけ出す検査をしている検査技師を細胞検査士といいます。細胞検査士が見つけ出した「あやしい細胞」については、細胞診断医の意見をききます。細胞診において最終判定(診断)は、細胞診専門医が行っています。
| *細胞診専門医 : | 細胞診の報告は、病名の診断という重要な意味が含まれています。日本臨床細胞学会主催の認定試験に合格した細胞診の専門医が、最終診断を下すような体制がとられています。 |
|---|---|
| *細胞検査士 : | 臨床検査技師の資格をもち、さらに日本細胞学会主催の認定試験に合格しなければなりません。(合格率は約25%と非常に難しい試験です) |


細菌検査
病院に来られた患者さん、または入院されている患者さんから、医師が“感染を起こしているのでは”と疑って提出された、 あらゆる検査材料(たん、尿、糞便、胸水、腹水、髄液、関節液、血液、分泌物、膿など)から、その原因となっている細菌を見つけ出して名前を特定し、 有効な治療をするための薬を調べる検査です。
検査内容
【染色検査】
細菌は非常に小さく、1000分の1mm〜1000分の20mm(1ミクロン〜20ミクロン)くらいしかありません、
それで見やすくするために細菌に色をつけ、顕微鏡で1000倍で観察します。
| ・グラム染色: | 提出された検査材料をズライドグラスと呼ばれるガラス板に塗りつけて、グラム染色法で染色します。まず細菌がいるか、いないかを調べます。細菌がいると、ほとんどの細菌は青色か赤色に染まります。形は棒状か球状です。 私たちは呼び方を統一するため、青色を陽性、赤色を陰性、棒状を桿菌、球状を球菌といいます。これによりグラム陽性桿菌、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌、グラム陰性球菌の4種類に分けることができます。 この菌の分類は医師が抗生物質を選択するのに非常に重要です。 |


| ・チールネールゼン染色: | この染色は結核菌またはそれに類似した菌を染めるための染色で、菌がいると赤く染まります。 |
【培養・同定検査】
培養には多種多様な細菌が、それぞれ好む栄養を加えた「培地」というものを使用します。なので、培地はたくさんの種類があります。提出された検査材料をそれぞれに合った培地に塗抹したり混ぜたりして、人の体温と同じ37℃で細菌を育てます。
一晩培養して発育した細菌を染色したり、性質などを調べて細菌名を決定します。この細菌の名前を特定することを「同定」と言います。

【薬剤感受性検査】
細菌名が決まったら、今度はその菌にどういう薬が効くのか、または効かないのかを調べます。これを薬剤感受性検査といいます。
この結果を医師が見て薬を選んだり、変更したりします。
【院内感染対策】
院内感染対策チーム(ICT[infection control team])が病院内で特定の細菌が患者の間で広がっていないか、
または薬の効かない細菌が発生してないかを常に監視しています。実際に院内感染が発生した場合はすぐに行動を開始する腰の軽さがウリのチームです。
構成メンバーは医師、看護師(2名)、薬剤師、臨床検査技師(細菌検査担当)の5名で、毎週金曜日と必要時に最新の情報を持ち寄って集まっています。
そこで当科の技師は患者から得られた細菌に対する情報を整理してわかりやすくチームに提出し、必要な対策をしています。
スタッフ紹介

医師
医学博士
死体解剖医
日本病理学会認定病理専門医・研修指導医
日本臨床細胞学会認定細胞診専門医
北海道大学医学部非常勤講師
札幌医科大学非常勤講師
日本病理学会学術評議委員
日本病理学会北海道支部病理医会副会長
日本臨床細胞学会北海道支部理事
日本腎病理協会世話人
移植腎病理研究会理事
医学博士、死体解剖資格、病理専門医、病理専門医研修指導医
臨床検査管理医、北海道大学医学部非常勤講師
所属学会
日本病理学会、日本臨床細胞学会、日本臨床検査医学会
【略歴】
平成11年3月 北海道大学医学部医学科卒業(75期)
平成11年4月〜平成16年3月 北海道大学医学研究科病態制御学専攻博士課程
平成16年4月〜平成18年10月 北海道大学医学研究科分子病理分野 助手
平成18年11〜現在 KKR札幌医療センター病理科
検査技師





病理専門医への道 ―― 君も病理専門医を目指そう!! ――
医学部を受験しよう
- まずは医学部に合格しないと先に進めません
医学部で医学を学ぼう
- 医学部は6年制です。6年間しっかりと一般教養と医学を広く学ぶ事が,よい病理医になるために必要です。
医師国家試験を受験しよう
- 病理専門医になる前に,医師国家試験に合格して医師に成らなければいけません。
2年間の初期臨床研修
- 厚生労働大臣の指定した臨床研修病院にて2年間の初期臨床研修を行いましょう。
- 内科,外科,産婦人科をはじめとする各臨床科で研修して医師としての下地を作りましょう。 臨床研修で学んだ事は病理専門医に成っても役立つはずです。
- もちろん当院も臨床研修病院です。病理専門医を目指す若い医師を大歓迎します。
人体病理学を実践しよう
- 日本病理学会の認定する研修施設で4年間以上,人体病理学を実践しましょう。
具体的には,病院の病理診断科や大学の病理学教室等で日常の病理診断業務をこなします。
もちろん当院病理診断科でも後期臨床研修として将来の病理専門医の受け入れを大歓迎しています。
この間に,病理専門医受験に必要な要件を確実に満たしましょう。
主だったものを記載します。
- 日本病理学会に入会する
- 死体解剖資格(死体解剖保存法の規定する国家資格)を取得する
- 病理解剖50症例以上,生検・手術検体5000件以上,迅速検体50件以上の病理診断
- 人体病理学に関する原著論文または学会報告を3編以上(詳しくは日本病理学会ホームページをご覧ください)
日本病理学会専門医試験を受験しよう
- 試験では,文章問題,写真問題,鏡検試験,面接が1日で行われます.ちなみに2006年度の合格率は75.4%でした。
日本で現在診療にあたっている病理専門医の数は千数百名といわれていますが,この数は欧米諸国と比較すると極端に少ない数字です。 各医療施設における病理医の需要が高いにも関らず,病理医を志望する医師が少ないのが日本の医療の現状です。 病理医を必要としている医療機関はいくらでもあります。あなたも病理専門医を目指して将来その能力を十分に発揮して活躍してください。


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